Research Press Release
【気候】ディープラーニングを利用したエルニーニョの予報
Nature
2019年9月19日
エルニーニョ現象を実際の発生の最長1年半前に予報するディープラーニング(深層学習)の手法を記述した論文が、今週掲載される。この手法は、エルニーニョ現象の予報の分野における長年の課題を克服している。
エルニーニョ現象は、東部太平洋と中部太平洋で発生し、極端な気候現象を引き起こし、地域の生態系に重大な被害を与えることがある。従来の予報方法では、リードタイムが1年を超えると正確な予報ができないため、エルニーニョ現象の予報は困難だった。
今回、Yoo-Geun Hamたちの研究グループは、エルニーニョ現象の予報ができる深層学習の手法を発表した。この研究グループが開発した統計的予報モデルは、過去(1871~1973年)の気候データとエルニーニョ現象のシミュレーションを使ってトレーニングが行われ、1984~2017年のデータを使って検証が行われた。この深層学習アルゴリズムを使うと、現在の気候予報よりも精度が高く、これまでよりも長い最長1年半のリードタイムでエルニーニョ現象の予報ができるようになった。また、この予報モデルを用いて、エルニーニョ現象の発生場所(東部太平洋か中部太平洋か)の予報をでき、エルニーニョ現象に先行する海面水温の変化も特定できた。
Hamたちは、この手法によって得られる予報は、将来の気候予報にも利用でき、エルニーニョの影響への政策的対応に向けた情報提供にも役立つという見解を示している。
doi:10.1038/s41586-019-1559-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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