Research Press Release
【惑星科学】嫦娥4号の着陸を再構築する
Nature Communications
2019年9月25日
嫦娥(じょうが)4号の月面着陸地点の正確な位置と月面着陸を再構築した結果を示す論文が、今週掲載される。
2019年1月3日、中国の宇宙船「嫦娥4号」が、月の裏側にあるフォン・カルマン・クレーターへの着陸に成功した。地球で無線追跡ができず、遠隔測定データも得られないため、嫦娥4号の着陸プロセスは自律制御によって行われた。
今回、Chunlai Liたちの研究グループは、嫦娥4号の着陸用カメラの画像を使って、その着陸軌道を再構築した。この画像は、着陸後に人工衛星「鵲橋(じゃっきょう)」を経由して地球に送信されていた。Liたちは、この着陸用カメラの画像と月面ローバー「玉兎(ぎょくと)2号」からの画像を用いて、嫦娥4号が、風化したクレーターの緩やかな斜面に着陸し、その北側には直径25メートルのクレーターの縁が近くにあり、着陸地点が5つのクレーターに囲まれていたことを明らかにした。次にLiたちは、別のナビゲーション用カメラから得た画像を用いて、正確な着陸地点(南緯45.4446度、東経177.5991度、高度-5935メートル)を決定した。
この研究成果は、将来の太陽系(例えば、小惑星の地表)における宇宙船の自律着陸の基盤となる可能性がある。
doi:10.1038/s41467-019-12278-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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