【がん】脳腫瘍の判別に役立つ血液検査の開発
Nature Communications
2019年10月9日
血液検査の開発がさらに進み、脳腫瘍患者の判別に役立つと考えられる検査法が得られたことを報告する論文が掲載される。この論文には、複数の検体を同時に解析するために使用できる低コストのスライドが紹介されており、それが予備的臨床研究で検証されたことが報告されている。今回の研究で提案されたシステムによって確実な診断を行うことはできないが、トリアージのツールとして使える可能性のあることが指摘されている。
脳腫瘍患者は非特異的症状を呈することが多く、脳腫瘍の最終診断を下すまでに時間がかかる場合がある。これまでの診断検査は、古典的な手法によって減衰全反射フーリエ変換赤外分光法と呼ばれるシステムを利用し、血液検体を解析して、患者が脳腫瘍にかかっている可能性を予測していた。この検査では、ダイヤモンドのような高コストの材料を使用する必要がある。
今回、Matthew Bakerたちの研究グループは、この検査法の開発をさらに進めて、トリアージのツールとして使用できるようにした。デバイスに複数のシリコンウエハーを組み込むことで、一度に複数の検体を解析できる低コストのシステムが開発されたのだ。Bakerたちは、104人の患者からなる前向きコホートから得た検体を用いて、このデバイスが、87%の精度で脳腫瘍患者と健常者を判別できることを明らかにした。以上の知見は、医師が腫瘍を診断するために脳スキャンを行う必要のある患者の優先順位付けを行う際に、この手法が役立つ可能性のあることを示唆している。
doi:10.1038/s41467-019-12527-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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