Research Press Release
【天文学】タイタンにおける初の全球地質図
Nature Astronomy
2019年11月19日
土星の衛星タイタンの初めての全球的な地質図を報告する論文が今週掲載される。カッシーニ探査機から得られたデータを用いて作製されたこの地図は、タイタンの歴史と進化の理解を深めると期待される。
タイタンは、高密度の大気を持ち液体のメタンが循環する太陽系唯一の衛星である。これは、の表面と進化に著しい影響を及ぼす。しかし、その大気はもやがかかっているために、表面の観測が妨げられ、タイタンの地質の全球的な光景を得ることは難しかった。
今回、Rosaly Lopesたちは、極領域を含むタイタンの表面を再構築および地図化するために、カッシーニ探査機に搭載された赤外線および電波計測器から得られたデータを用いた。著者らは、6種類の主要な地質学的な形態を明らかにし、それらの相対年代と全球の分布を決定した。この地図から、タイタンの地質は緯度に強く依存していることが示唆された。最も若い地形は、砂丘場(赤道で支配的)、湖(極領域に集中)である。しかし、タイタンの大部分は、特徴のない有機質の平原に覆われており、中緯度で広範囲に見られる。
こうした観測結果は、タイタンが、その液体メタンの循環によってどの程度形成されたかを示している。極領域は液体のメタンを保持するのに十分な湿度があるのに対し、赤道の気候は乾燥していて、風成砂丘を維持している。
doi:10.1038/s41550-019-0917-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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