【気候変動】気候変動のホットスポットで環境ストレスが女性に悪影響を及ぼしている
Nature Climate Change
2019年11月26日
アフリカやアジアの気候変動のホットスポットでは、環境ストレスが女性の行為主体性(有意義な選択や戦略的決定を行う能力)に悪影響を及ぼしていることを示唆する論文が掲載される。こうしたストレス要因は、世帯の適応戦略における女性が担う責任と負担の増大につながる可能性がある。
家庭、地域社会、国家レベルで強化された確固たる社会構造は、男女1人1人の気候変動の経験と気候変動に対する反応を形作っている。この状況下でのジェンダー研究により、移動性、資源の利用機会と役割分担が気候の変化、社会構造と生活感受性によって制約を受けている地域で、持続可能で平等かつ効果的な適応が重要なことが明確になった。
今回、Nitya Raoたちの研究グループは、アフリカとアジアの農業生態学的に異なる3つの地域(半乾燥地域、山岳地帯、氷河から溶けた水が流れ込んでいる河川地帯と三角州)における合計数千世帯を対象とした25の事例研究において、女性の行為主体性が適応応答にどのように寄与したのかを評価した。その結果、大多数の事例で、男性季節労働者と女性の劣悪な労働条件が、制度上の欠陥又は貧困と組み合わさって、環境ストレス条件下の女性の戦略的意思決定能力を制約していることが見いだされた。また、Raoたちは、女性の活動が世帯構造や社会規範によって支持されている場合であっても、環境ストレスが女性に悪影響を及ぼすことを明らかにした。
今回の研究は、さまざまな状況下で女性の行為主体性を低下させる共通の条件を特定することにより、気候変動への適応能力を強化するために取り組めると考えられる重大な障害物が、男性季節労働者と女性の労働条件と貧弱な物質的条件であることを示唆している。
doi:10.1038/s41558-019-0638-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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