【技術】自己給電式の「スマート」卓球台
Nature Communications
2019年11月27日
ピンポン球が卓球台に当たることを利用して駆動される検出システムによって、ピンポン球の速度を測定し、その軌跡を追い、エッジボールの判定(ピンポン球が当たったのは卓球台の端の角か卓球台の側面かの判定)を行う「スマート」卓球台について報告する論文が、今週掲載される。この検出システムは、運動選手のトレーニングやレフェリーの意思決定を支援するデータをリアルタイムで提供できる。
現在、スポーツ関連のデータをリアルタイムで取得するためには通常、電池駆動のセンサーを広範囲に配置する方法が用いられる。こうした電池は、寿命が短く、交換や再充電のコストが高く、廃棄時に環境問題が生じる。一方、摩擦電気ナノ発電機は、機械的刺激を電気信号に直接変換できるため、自己給電式の感圧センサーに用いられてきた。
今回、Zhong Lin Wangたちの研究グループは、「スマート」卓球台に使用する木製の摩擦電気センサーを開発した。ピンポン球が卓球台に当たる際の衝撃からエネルギーが集められ、電池を必要としないピンポン球の落下地点分布に関する統計システムとエッジボール判定システムの駆動に用いられている。Wangたちは、このシステムで、データが収集され、ピンポン球が卓球台に当たった位置、ピンポン球の移動速度と移動経路の追跡に関するリアルタイム統計が表示されることを実証した。センサーは戦略的に配置され、2種類のエッジボール(サイドエッジボールとトップエッジボール)を区別できるようになっている。
Wangたちは、今回の研究が運動競技データの分析の機会創出につながり、木製の電子機器と自己給電式システムの組み合わせに新たな道を開く可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-019-13166-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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