【化石】恐竜の羽毛を食べていた昆虫
Nature Communications
2019年12月11日
シラミの現生種に似た昆虫が羽毛恐竜に寄生していた可能性を示唆する研究論文が、今週発表される。今回発見された新属新種の昆虫Mesophthirus engeliは、部分的に損傷した恐竜の羽毛と共に約1億年前の琥珀の中から発見された。
中生代の化石記録(2億5000万~6500万年前)には数々の空白部分があるため、昆虫が羽毛を摂食する行動の起源と進化は未解明のままになっている。血液を摂取する昆虫は、ジュラ紀(2億100万~1億4500万年前)と白亜紀(1億4500万~6600万年前)のものが見つかっている。これらの時代には、羽毛恐竜が数多く生息していたが、その羽毛を摂食していた可能性のある昆虫は、これまで報告されていなかった。
今回、Dong Ren、Chungkun Shihたちの研究グループは、ミャンマー北部のカチン州で出土した2個の琥珀の中に2本の恐竜の羽毛とともに保存された状態で見つかった昆虫の若虫(10匹)を調べた。この昆虫には翅がなく、そのボディープランはシラミの現生種に類似しており、強力な咀嚼口器という注目すべき特徴があった。恐竜の羽毛のうちの1本は損傷しており、それが咀嚼によるものだと考えられ、シラミの現生種が寄生する鳥類の現生種に見られるものと非常によく似ていた。こうした新知見は、羽毛の寄生虫が白亜紀中期かそれ以前に進化し、それが鳥類と羽毛恐竜が多様化した時期とほぼ同じ頃だったことを示唆している。
doi:10.1038/s41467-019-13516-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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