【気候変動】海洋気候変動の未知の側面
Nature Ecology & Evolution
2019年12月24日
海洋生物は、気候変動に対応して高深度域へ、および極地方向へと移動できる可能性があるが、三次元的な生息地の圧迫を経験することになると報告する論文が掲載される。
海洋の種が海水温の上昇を生き抜こうとする場合、同じ環境温度を確保するために極地方向へ移動するか、あるいは元の生息地の水温上昇に適応することが考えられる。しかし、あまり知られていないものの、海洋生物は高深度域へと垂直に移動する可能性もある。
Gabriel Jordaたちは、一定の水温を確保するために海洋種が全世界の海洋で2100年までに行わなければならない垂直移動の規模を計算した。その結果、大きな局地的変動は見いだされたが、適温生息地は、調べた全ての場所の平均で、中程度の温室効果ガス排出シナリオでは18.7メートル、現状どおりのシナリオでは32.3メートルだけ高深度化することが明らかになった。しかし、好適な生息地を決定付けるものは水温だけではない。高深度域では得られる光が十分でない種もあり、場所によっては実際の最高深度が制限要因となる可能性もある。これを念頭に研究チームは、植物プランクトンと浅海底生息種(サンゴ、コンブ、海草など)のいずれもが、水温の上昇に従って好適生息地の垂直圧迫をこうむるようになることを明らかにした。水温適応と水平・垂直移動とを合わせた総合的な影響は複雑と考えられ、種間および地点間で大きく異なる。
今回の分析は、気候変動に対応した垂直移動の可能性に関する最初の全球的推定である。
doi:10.1038/s41559-019-1058-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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