【がん】B細胞を使って免疫療法に対する反応を予測する
Nature
2020年1月16日
一部のがん患者が免疫療法に良好な反応を示すかどうかを予測する際に、免疫細胞の凝集体の中にB細胞が存在するかどうかという要因を利用できることを報告する論文が3報掲載される。この新知見は、患者ケアの改善に役立ち、治療薬の開発を後押しすると考えられている。
免疫療法は、患者自身の免疫系を利用してがんと戦う。がん治療は、免疫療法によって改善されたが、持続的な臨床効果が得られる患者は、全体の20%にすぎず、免疫療法を実施された患者が、その後どのような反応を示すのかを予測できるバイオマーカーの探索に拍車が掛かっている。
今回、Wolf Fridmanたちの研究グループ、Jennifer Wargoたちの研究グループとGoran Jonssonたちの研究グループが、転移性黒色腫、軟部組織肉腫、腎細胞がんに関して、免疫系の構成要素であるB細胞が細胞凝集体(三次リンパ組織様構造)を形成すると、免疫療法に対する反応が良くなるという効果のあることをそれぞれ独自に実証した。
がんの臨床的予後を予測するためのバイオマーカーには、免疫活性の増加、変異負荷、患者のマイクロバイオームの構成などがあり、種類が増えてきている。ここに加わる可能性があるのが、今回の研究で明らかになったB細胞だ。現在のところ、FDAの認可を受けた免疫療法は、キラーT細胞という別の種類の免疫細胞の活性を高めることを目指しているが、今回の3つの研究では、複数のタイプの免疫細胞を標的とする治療法の潜在的有用性が明確に示されている。
doi:10.1038/s41586-019-1906-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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