【環境】カリフォルニア州の森林火災対策において山焼きを妨げている障壁が特定された
Nature Sustainability
2020年1月21日
米国カリフォルニア州において、森林火災対策に山焼きを広く用いることを妨げている3種類の社会政治的な障壁(リスクに関連する障壁、リソースに関連する障壁、規制に関連する障壁)を特定したという論文が掲載される。山焼きは、地表の可燃物を除去するために管理条件下で意図的に起こす火災で、森林火災を防ぐ効率の良い方法であることが示されている。
近年、米国西部、さらには世界中で、壊滅的な森林火災が増加している。こうした火災は、気候変動(高温乾燥状態が増強した)、過去の火災抑制策(これによって木材などの植物材料の燃料が1世紀にわたって蓄積可能となった)、可燃物の不十分な処理が組み合わさって起こる。カリフォルニア州では2000万エーカーの森林地が、可燃物を処理する山焼きなどの対策の恩恵を受ける可能性がある。
今回Rebecca Millerたちは、このタイプの森林火災対策の広範な展開を妨げているのが何であるのかを解明するため、州の規制、山焼きの記録、カリフォルニア州で行った山焼きに関する対話に参加した45名のキーパーソンのインタビューの記録を分析した。その結果、法的責任に対する不安や大衆の否定的な見方などのリスクに関連する障壁が、土地所有者が山焼きを計画する過程を開始するのを妨げていることが見いだされた。限られた資金、作業員の有無や経験などのリソースに関連する障壁、そして山焼きに不適切な気象条件や環境的な規制などの規制に関連する障壁も、土地所有者が山焼きを行うのを妨げており、計画と実行の間のギャップを大きくしている。
著者たちは、カリフォルニア州や世界中の森林火災に取り組むには、山焼きに関する政策を基本的に変える必要があると結論付けている。
doi:10.1038/s41893-019-0451-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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