Research Press Release

【進化学】古代のヒトDNAとアフリカのヒト集団史

Nature

2019年1月23日

中央アフリカ西部で見つかった古代のヒトDNAの解析が行われて、アフリカのヒト集団史の諸論点(例えば、バンツー語話者の起源)を解明するための手掛かりが得られた。この新知見を報告する論文が、今週掲載される。

アフリカ大陸のカメルーン西部に位置するシュム=ラカ遺跡は、中央アフリカ西部の先史時代(後期更新世と完新世)を研究するうえで重要な考古学的遺跡で、バンツー語の発祥地と考えられている草原にある。今回、David Reich、Mark Lipsonたちの研究チームは、この遺跡に埋葬されていた4人の子ども(2人が約8000年前、2人が3000年前と年代測定された)の古代DNAを解析し、4人全員の祖先の特徴が、中央アフリカ西部の現代の狩猟採集民の祖先の特徴に最も類似していることを見いだした。この知見は、カメルーン西部の住民とアフリカ大陸全土のバンツー語話者が、これら4人の子どもやその所属集団の子孫ではないことを暗示している。

また、4人の子どものゲノムにも混合の痕跡が見られ、その祖先が別の集団に属する者と交雑したことが暗示されている。さらに、3回の顕著な放散が認められ、そのうちの1回は約30万~20万年前に起こり、その結果、現代の集団に寄与する少なくとも4つの主要分枝が生じた。

doi:10.1038/s41586-020-1929-1

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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