【健康】尿路感染症のリスク低減にベジタリアン食が役立つかもしれない
Scientific Reports
2020年1月31日
ベジタリアン食(菜食)が、尿路感染症(UTI)のリスク低下につながる可能性があることを報告する論文が掲載される。
UTIは、腸内細菌(大腸菌など)が原因になっていることが多い。腸内細菌が、尿道から尿路に侵入し、腎臓と膀胱に悪影響を及ぼすのだ。以前の研究で、UTIの原因であることが知られた大腸菌株の主要な貯蔵場所の1つは食肉であることが明らかになっているが、食肉の摂取を避ければ、UTIのリスクが低減するのかどうかは分かっていない。
今回、Chin-Lon Linたちの研究チームは、台湾の仏教徒の健康転帰における菜食の役割を調査する研究(慈濟ベジタリアン研究)に参加した台湾の仏教徒(9724人)におけるUTIの罹患率を調べた。その結果、UTIの全体的なリスクは、ベジタリアン(菜食主義者)の方が非ベジタリアンより16%低いことが判明した。また、研究対象となった3040人のベジタリアンのうちの217人がUTIを発症したのに対し、非ベジタリアン6684人のうち、UTIを発症したのは444人だった。ベジタリアン食に関連したUTIリスクの低減は、女性よりも男性の方が大きかったが、男性のUTIの全体的なリスクは、食事に関係なく女性よりも79%低かった。
大腸菌が存在していることの多い鶏肉や豚肉を食べないことが、UTIを引き起こす可能性のある大腸菌の摂取を避ける方法になるとLinたちは考えている。また、Linたちは、多くのベジタリアンの高食物繊維食が腸内大腸菌の増殖を阻止し、腸内の酸性度を高めることによってUTIのリスクの低減を図れるという考えも示している。
doi:10.1038/s41598-020-58006-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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