【気候科学】北半球の複合的極端高温が顕著になっている
Nature Communications
2020年2月12日
複合的極端高温とは、夏の特定の日の昼の気温と夜の気温の両方が、過去の同じ日の昼夜の気温の記録においてそれぞれ上位10%に入る場合をいうが、人為起源の気候変動によって複合的極端高温の頻度と強度が著しく増加することが明らかになった。そして、21世紀の終わりまでには、北半球の集団が複合的極端高温にさらされるレベルが2010年代より4~8倍高くなる可能性のあることも判明した。この研究結果を報告する論文が、Nature Communications に掲載される。
今回、Yang Chenたちの研究チームは、1960年から2012年までの北半球の気温データを解析し、この期間中に複合的極端高温の平均日数が10年間に約1日増加し、複合的極端高温の平均気温が10年間に摂氏0.28度上昇したことを明らかにした。そして、統計解析によって、こうした増加や上昇の主たる原因が人為起源の温室効果ガス排出であることの確証が得られた。
Chenたちは、気候モデルのアンサンブルを用い、2つの排出シナリオについて、複合的極端事象の今後の変化を調べた結果も発表している。複合的極端高温の発生頻度は、21世紀末までに、温室効果ガス排出量が中位で安定化するRCP 4.5シナリオで4倍になって、ひと夏の発生日数が32日まで増加する可能性がある一方で、温室効果ガス排出量が高位で推移するRCP 8.5シナリオでは頻度が8倍になり、ひと夏の発生日数が69日まで増加する可能性のあることが明らかになった。また、温暖化によって全球気温が摂氏2度上昇すれば、摂氏1.5度上昇する場合と比べて、年間の複合的極端高温の日数が5日多くなり、複合的極端高温の気温が摂氏0.5度高くなる可能性のあることも判明した。
doi:10.1038/s41467-019-14233-8
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