【特集号】極端な気象事象がエネルギーシステムに及ぼす悪影響
Nature Energy
2020年2月18日
Nature Energy では、今週掲載される6報のCommentと1報の論文で、極端な気象事象がエネルギーシステムに悪影響を及ぼす可能性を検討する。この特集では、エネルギー科学のさまざまな分野において、気候変動の下での極端な気象の影響を探っている。
気候変動は、長期的な現象であり、主にそれ自体がモデル化されて調べられている。しかし人間は、極端な気象事象を介して気候変動の深刻な影響を経験することが多い。さらに、エネルギー財政から法制度まで我々のエネルギーシステムの多くの要素が、極端な気象事象に対する準備ができておらず、特定の状況ではその影響を悪化させる可能性すらある。
気候変動によって生じる極端な気象事象と気象変動は、エネルギー需要とエネルギー供給システムの復元力のどちらにも影響を及ぼす可能性がある。しかし、将来の極端な気象事象の激しさ、時期、位置を予測できないため、エネルギーシステムに対する極端な気象事象の具体的な潜在的影響を定量化するのは難しい。A T D Pereraたちは、気候モデルから得られる平均的な気温変化と極端な気温変化を分けてエネルギー需要をモデル化する方法について報告している。
極端な気象事象の影響は、こうした高い気候リスクに対する資本注入や保険が拒否される可能性があるため、財政の群衆行動によって悪化し、物理的なエネルギー不足につながると思われる。同時に、再生可能エネルギーへの投資が、削減される化石燃料への投資に取って代わるには超指数関数的な成長が必要であるが、そのようには成長しない可能性がある。A JaffeのCommentでは、こうした現象のリスクが調べられ、それを回避する方法が示唆されている。
同時に掲載されるEditorialでは、「極端な気象事象は、我々を打ちのめすだけでなく、最初に最も脆弱な人々に最も壊滅的な影響を及ぼすので、その影響を説明し明確な形にすることが重要である」と述べられている。この他、5報のCommentも含む今回の特集は、極端な気象事象と我々のエネルギーシステムに関してまだ分かっていないこと、そして、それについてなし得ることを検討している。
doi:10.1038/s41560-020-0558-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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