古生物学:爬虫類の進化の謎に光を与える先史時代の小さなトカゲ
Scientific Reports
2020年2月21日
先史時代の爬虫類の新種がドイツで発見され、Vellbergia bartholomaeiと命名されたことを報告する論文が、今週Scientific Reports に掲載される。この爬虫類種の解剖学的特徴によって、鱗竜形類の初期進化の理解が深まる。
鱗竜形類は、規模と多様性が最大級の四肢動物系統で、1万500種以上が含まれており、現代のトカゲ類、ヘビ類、ムカシトカゲ類の祖先に当たる。しかし、化石標本は、数か所の三畳紀の遺跡でしか発見されておらず、鱗竜形類の初期進化は、ほとんど解明されていない。
今回、Gabriela Sobralたちの研究チームは、ドイツのベルベルグにある三畳紀中期(2億4700万年~2億3700万年前)の堆積層から小さな化石を発見した。分析の結果、この化石標本は、初期の鱗竜形類の新種であることが分かった。そして、この遺跡で発見された化石標本の中で最も小さいものに分類され、ベルベルグで発掘された初めての幼体化石である可能性がある。V. bartholomaeiは、下顎と比べて幅の狭い歯、細長い歯、低い歯などの独特な特徴を示しており、他の鱗竜形類種と異なっているのだが、現代のトカゲ類とムカシトカゲ類の祖先に見られる特徴も寄せ集められている。これらの知見は、Vellbergiaがトカゲ類とムカシトカゲ類の共通祖先である可能性を示唆しており、初期爬虫類の進化に関する理解が深まる。
この化石は、鱗竜形類の初期進化を解明する上でベルベルグの遺跡が重要なことを示す新たな証拠である。三畳紀前期の化石記録は数が少ないため、地球上で起こった既知の絶滅事象の中で最も規模の大きいペルム紀と三畳紀の境界(約2億5200万年前)で生じた大量絶滅の後、脊椎動物が回復し、現生種に多様化した過程を解明する上で三畳紀中期の化石標本が根本的に重要なものとなっている。
doi:10.1038/s41598-020-58883-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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