気候変動:森林火災と共にある未来
Nature Climate Change
2020年2月25日
最近のオーストラリアの森林火災に関する一連のCommentとCorrespondenceが、今週、Nature Climate Change に掲載され、Editorialと共に火災の影響と火災に関連した地球規模の対応を探究している。
2020年1月中旬現在、オーストラリアの森林火災により、大陸南部の1000万ヘクタール以上が焼失した。この火災は前例のない大規模なもので、人間の福利とインフラと野生生物に大きな影響を与えている。
Ben SandersonたちのCommentでは、最新の気候モデルを取り上げて、これらのモデルを使ってニューサウスウェールズ州の森林火災を予測できたかどうかを考察している。また、Lauren RickardsとJames Watsonの共著のCommentでは、森林火災が現在の気候変動研究に及ぼす影響を論じた上で、科学者と研究機関が森林火災にどのように迅速に適応する必要があるのかを議論している。
一方、Lesley HeadのCommentでは、森林火災が気候変動対策につながるのかどうか、それとも森林火災が普通の出来事と考えられるようになるのかを探究している。その他の記事では、森林のバイオームが受けた被害を論じ、この地域に雨をもたらす自然の気候パターンについて考察している。Henriette JagerとCharles Coutantの共著のCorrespondenceには、全世界の森林火災に対する応答を調べた結果が示されている。そして、この論文では、コアラのために長靴を編むなど、傷ついた野生生物を助けるための個人の行動と、気候変動を緩和して生物種と生物多様性を確実に守るために必要な行動を対比させて論じている。
同時掲載されるEditorialでは、「森林火災に直面しているオーストラリアに思いやりと支援が与えられるべきなのは確かだが、しばし立ち止まって、気候変動の最前線にある他の地域の存在も認めて、気候変動対策への意欲を集団的に高める活動にそうした地域の話も組み込むことが大切だ」と論じられている。
doi:10.1038/s41558-020-0720-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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