地球科学:初期地球の磁場はどのようにして生成されたか
Nature Communications
2020年2月26日
初期地球の磁場が生成されるまでの過程に関する手掛かりがモデル研究によって得られたことを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。
地球の磁場は少なくとも34億年前から存在しているが、最初にどのように生成されたのかはわかっていない。現在の地球磁場は、金属鉄を豊富に含んでいる液体外核のダイナモ作用によって生成されている。これに対して、初期地球では、外核が十分に急速に冷却しないため、この過程を維持することは困難だったと考えられている。当時の地球の外核は、溶融ケイ酸塩の層(基底マグマオーシャン)に囲まれていたが、これまでのケイ酸塩液体の電気伝導度測定の結果からは、この液体がダイナモ作用を起こせないことが示唆されていた。
今回、Lars Stixrudeたちの研究チームは、初期地球の基底マグマオーシャンと同様の条件でケイ酸塩液体の電気伝導度を予測するために一連のシミュレーションを行った。その結果、初期地球の基底マグマオーシャンについて予測された温度と圧力条件で、ケイ酸塩の電気伝導度はダイナモを維持する上で十分なことが明らかになった。Stixrudeたちは、この結果に基づいて磁場強度を計算し、計算結果が始生代(約40億~25億年前)の古地磁気記録に見られる値に近いことを明らかにした。Stixrudeたちは、初期地球の磁場が基底マグマオーシャンによって生成されたと結論付け、ケイ酸塩ダイナモが宇宙の他の天体に存在している可能性を提起している。
doi:10.1038/s41467-020-14773-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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