地球科学:インドネシア、バンダ海における破壊的な地震と津波の起源
Nature Geoscience
2020年3月3日
インドネシアの、破壊的な地震と津波が歴史的に発生した原因は、最近発見された、海底の伸長断層系にあることする報告がNature Geoscience に掲載される。伸長断層系では、断層帯に沿って沈む堆積物が津波を引き起こす。今回の知見は、この極めてテクトニクス的に活動的な地域における地震と津波災害に新たな理論をもたらす。
バンダ海における多くの破壊的な事例は、17世紀から現在まで、1852年の大規模なインドネシア・バンダ地震と津波の詳細な報告などが記録されている。この事例は、他の事例とともに、バンダ海の下にある沈み込み帯の圧縮性の断層(テクトニック・プレートが他のプレートの下に押し込まれている)により引き起こされたと考えられてきた。しかしながら、海底に伸張性の断層が存在する地質学的証拠があり、この地域は最近は圧縮ではなく伸長を経験していたことが示唆されている。
今回、Phil Cumminsたちは、既存の地質学的情報と地殻変動のGPS観測およびこの地域における歴史地震と津波の解析を、特に1852年の事象に焦点を合わせて組み合わせた。彼らは、バンダ諸島に破滅的被害を与えた1852年バンダ地震と他の4つの歴史的な地震は、沈み込みに関連した深部の震源ではなく、浅い傾きを持つ伸長断層系が引き金となったことを見いだした。さらに、著者たちは、津波は地震自体が直接的に引き金となったのではなく、地震により不安定になった断層帯に沿った海洋堆積物の崩落が引き金となったことを突き止めた。
著者らは、今回の知見は地震が引き起こす堆積物の崩落が大津波の引き金となり、バンダ海では伸長テクトニクス地域の地震活動がインドネシアの大地震と津波災害の原因であることを立証したと結論している。
doi:10.1038/s41561-020-0545-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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