Research Press Release
方法論:仮想現実を利用してゼブラフィッシュの複雑な行動を調べる
Nature Methods
2020年3月3日
環境と相互作用しているゼブラフィッシュの成魚の脳活動をゲーミングソフトウエアに基づく仮想現実システムで調べられることを明らかにした論文が、Nature Methods に掲載される。
ゼブラフィッシュの稚魚は、脳の神経活動を広く記録することができるため、多くの研究者が脳機能を調べているが、示す行動の範囲が限られている。成魚は行動のレパートリーが増え、社会的相互作用、複雑な生得的行動、各種の学習や意思決定などがみられるが、高分解能の活動測定値をとらえる方法が存在しない。
動物と環境との相互作用を分析・操作したり、行動中の神経活動を測定したりする上で、仮想現実(VR)システムは有用なツールである。Rainer Friedrichたちは、環境を処理するゼブラフィッシュ成魚の脳の二光子カルシウムイメージングを行うことができるVRシステムを開発した。研究チームは、同種個体の映像を見せられているVR中のゼブラフィッシュが通常の自発的遊泳や親和的行動を示すことを見いだした。また、予想に合わない感覚入力をゼブラフィッシュの脳がどのように処理するのかも調べた。
仮想現実をこのようにゼブラフィッシュ成魚の神経活動の大規模イメージングと組み合わせることにより、高次脳機能の基盤となっている機構を調べるための新たな機会が得られる、と研究チームは結論付けている。
doi:10.1038/s41592-020-0759-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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