古生物学:ハチドリほどの小さなサイズの、琥珀に保存されていた恐竜
Nature
2020年3月12日
琥珀に閉じ込められた頭蓋は、鳥類様恐竜の新種であり、これまでに報告された中生代の恐竜の中で最も小さい可能性のあることが明らかになった。この頭蓋について記述した論文が、今週、Nature に掲載される。
琥珀の内包物は、これまで得られなかった小動物の軟組織と骨格構造に関する知見をもたらしている。これは、小動物の軟組織や骨が脆弱なために他の堆積物にほとんど保存されていないからだ。この論文で、Jingmai O’Connor、Luis Chiappeたちは、ミャンマー北部で出土した約9900万年前の琥珀の中で見つかった鳥類の頭蓋に似た非常に小さな頭蓋について記述している。この頭蓋骨を持つ恐竜は、Oculudentavis khaungraaeと命名された。この保存状態の良い標本の頭蓋骨の長さはわずか7.1ミリメートルで、この恐竜が、現生鳥類の中で最も小さなマメハチドリのサイズに近かったことを示されている。
Oculudentavisとは、「犬歯鳥」という意味で、この恐竜の生活様式を解明する上で手掛かりとなる注目すべき特徴を反映している。この頭蓋の大部分は、トカゲの目に似た大きな眼窩が占めている。この眼窩は開口部が狭く、入射光が少ないことから、Oculudentavisは昼光条件下での活動に適していることが分かる。その上顎と下顎には多数の鋭い歯があり、この研究チームは、それぞれの顎に合計29~30本の歯が生えていたと推定している。以上の新知見からは、Oculudentavisが捕食者であり、歯がなく花蜜を餌にする同じようなサイズの現生鳥類とは異なり、小型の節足動物や無脊椎動物を餌にしていた可能性が非常に高いことが示唆されている。
同時掲載のRoger BensonのNews & Views論文によれば、「この数年の間にミャンマー琥珀から予想外の知見が得られた」とされる。Bensonは、この新知見を踏まえて、「今後もこうした発見が続く可能性は高く、特に体サイズの小さな動物についてそれが言える」という考えを示している。
doi:10.1038/s41586-020-2068-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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