動物学:ニシゴリラは縄張り意識を持っているかもしれない
Scientific Reports
2020年3月13日
ニシゴリラの群れは、自らの行動圏の中心部分を近隣の群れから防御していると考えられることが研究によって明らかになった。この知見は、ニシゴリラが縄張り意識を持っていることを示唆していると考えられる。この研究結果を報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。
ゴリラは、行動圏(生活し移動する空間)が広く、複数の群れの行動圏が広範囲にわたって重複しており、群れの間での攻撃が少ないため、縄張り意識を持たないと広く考えられている。
今回、Robin Morrisonたちの研究チームは、大規模なカメラトラップ調査を行って、コンゴ共和国の60平方キロメートルの領域に生息するニシゴリラの群れ(8群、合計113頭)を監視し、それぞれの群れの行動圏を決定した。その行動圏には一部重複があったが、ゴリラは、同じ日に別の群れが訪れた場所で摂食を回避する傾向を示し、その場所が、別の群れの行動圏の中心部分に近いほど、回避行動をとる可能性が高かった。
Morrisonたちは、ゴリラが他の群れの行動圏の中心部分を避けて、紛争を防止している可能性があると考えている。行動圏の中心部分は、物理的攻撃やドラミング(胸を打ち鳴らす仕草)によって防御されていると考えられるからだ。また、Morrisonたちは、大きな群れの方が小さな群れよりも中心部分を防御しやすいと考えられることを明らかにしている。
ゴリラの群れの間の相互作用は、社会的、家族的関係と縄張り意識によって影響されるため、ゴリラの社会構造がこれまで考えられていたよりも複雑であることを示唆する証拠が増えてきており、今回の研究によって得られた知見もそうした証拠の1つとなった。
doi:10.1038/s41598-020-60504-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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