がん:機械学習の手法で肺がん検診を改善できるかもしれない
Nature
2020年3月26日
早期肺がん患者を特定できる機械学習法について報告する論文が、今週Nature に掲載される。この機械学習の手法によって血液検体中の腫瘍由来DNAが検出されるので(いわゆる「液体生検」)、肺がんリスクの高い者がもっと頻繁に検診を受けられるようにするために役立つ可能性がある。
肺がんリスクの高い者に推奨される検診方法はCTスキャンであり、これによって肺がん関連死が減ったことが明らかになっている。しかし、CTスキャンは、費用が高いこと、検診プログラムが少ないこと、偽陽性に対する懸念などの要因により、受診率が低迷しており、米国では適格者の約5%しか受診していない。CTスキャンに代わる魅力的な肺がん検診方法が血液検査だが、ほとんどの液体生検研究は、進行肺がん患者のモニタリングに着目したものになっており、進行肺がん患者の腫瘍関連DNAマーカーの濃度は、早期肺がん患者よりも高い可能性がある。
今回、Maximilian Diehnたちの研究チームは、循環血中腫瘍DNA(ctDNA)を評価するために既存の塩基配列決定法を最適化した。その結果、DNAの回収が改善され、肺がんの有用なマーカーとして役立つ可能性のあるDNAの変化が同定された。また、Diehnたちは、この塩基配列決定法を用いて、早期肺がんにおけるctDNAの値は非常に低いが、ctDNAが早期肺がんの強力な予後マーカーであることを明らかにした。さらにDiehnたちは、これらのデータを利用して、血液検体中の肺がん由来DNAの存在を予測するための機械学習法を改良した。小細胞肺がん以外の早期肺がん患者104人とそれにマッチした対照群56人の初回検体を用いて、この方法を検証したところ、早期肺がん患者とそれにリスクがマッチした対照群の患者とを区別できた。この結果は、早期肺がん患者群46人と対照群48人からなる独立検証コホートにおいて確認された。
doi:10.1038/s41586-020-2140-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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