医用生体工学:健康モニタリング用の「スマートトイレ」
Nature Biomedical Engineering
2020年4月7日
標準的なトイレに取り付けて使用者の大小便の健康疾患バイオマーカーを追跡することができるハードウエアとソフトウエアのセットについて報告する論文が、Nature Biomedical Engineering に掲載される。自律的に動作するその「スマートトイレ」を用いれば、使用者が自分の健康関連データをモニタリングできるようになり、スクリーニング、診断および患者モニタリング試験も可能になると考えられる。
個人の健康状態を低コストで非侵襲的に何度も測定することができる技術があれば、疾患の予防や予測に加えて、さらに正確な診断や治療法の決定も容易になると考えられる。しかし、個人の健康状態のモニタリングに用いられている技術には、得られるデータが実用的でないものや、臨床ワークフローにほとんど組み込むことができないものが極めて多い。
Sam Gambhirたちは、圧力/モーション・センサー、尿の流れやその基本的生化学組成を分析するための試験紙とビデオカメラ、形状や流動性の臨床尺度に従って大便を分類するためのコンピュータービジョンと機械学習アルゴリズム、水洗レバーに埋め込まれた指紋スキャナーによるバイオメトリクス個人識別を組み合わせたモジュール式トイレシステムを設計した。
そのトイレシステムの潜在的な健康効果は大規模な臨床試験で評価する必要があろう。そのシステムにはヒト集団の排泄物の基準データによる最適化も必要と考えられる。その概念実証的な「スマートトイレ」のモジュールには、洋式トイレおよび立位の男性参加者のみの構成や試験しか行われていないものもあるが、Gambhirたちによれば、今後のトイレシステムの実装で用途は広がり、臨床に関連するヒト排泄物の生物物理学・生化学分析をさらに組み込める可能性があるという。
doi:10.1038/s41551-020-0534-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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