環境:火山噴火による二酸化炭素排出が三畳紀末期の地球温暖化の一因となった
Nature Communications
2020年4月8日
三畳紀末期に火山噴火によって大気中に排出されたCO2の量は、21世紀中の人為起源CO2の予想総排出量に匹敵する可能性の高いことが明らかになった。この新知見は、今週、Nature Communications で発表される。このような大量の火山性CO2は、三畳紀末期の地球温暖化、海面上昇、海洋酸性化に寄与した可能性が高い。
三畳紀末期(約2億100万年前)の大量絶滅では、全ての海生種と陸生種の大部分が死滅したが、その原因は、同時期に発生したことが知られている顕著な気候変動と海面上昇だと考えられている。中央大西洋マグマ分布域における大規模噴火の際に排出された火山性CO2は、大量絶滅の過程に対する重要な寄与因子だと考えられてきたが、これについては議論が続いている。
三畳紀末期の中央大西洋マグマ分布域の玄武岩質岩石には、マグマ中に溶解していたガス成分がマグマから離溶して形成された微小な気泡が保存されており、今回、Manfredo Caprioloたちの研究チームは、この微小な気泡を分析し、この玄武岩質岩石に大量のCO2が含まれていることを示す証拠を発見した。Caprioloたちは、分析結果を用いて、こうした火山噴火の際に排出された火山性CO2の総量を推定した。その結果、1つの噴火相(500年間に10万立方キロメートルの溶岩が噴出する)に排出されたCO2の総量が、21世紀中に摂氏2度の温暖化シナリオで人間活動によって排出されるCO2の予想総量に匹敵する可能性の高いことが明らかになった。
Caprioloたちは、火山性CO2の大量排出によって引き起こされた三畳紀末期の気候と環境の変化が、人為起源の温暖化を原因として近い将来予想される気候と環境の変化に類似している可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-020-15325-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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