Research Press Release
天然物が明らかにするがん治療の新標的
Nature Chemical Biology
2011年8月8日
ヒトのがん細胞の増殖を同じように阻害する一群の天然物を研究することによってがん治療の標的が発見されたことが、Nature Chemical Biology(電子版)で発表される。
自然に作られる小分子の中にはヒトのがん細胞の増殖を阻害する能力を持つものがあるが、そうした増殖阻害特性の基礎となるメカニズムは知られていない場合が多い。
M Shairたちは、がん細胞内のオキシステロール結合タンパク質(OSBP)およびOSBP類縁タンパク質が天然物の標的であることを発見した。OSBPおよびOSBP類縁タンパク質は、シグナル伝達、脂質輸送、および脂質代謝と関連付けられているが、がん細胞の増殖や生存に影響することは知られていなかった。
こうしたタンパク質を標的とすることによってがん細胞の増殖を阻害する分子群を同定することは、OSBPおよびOSBP類縁タンパク質とがんとの関係に関する研究を推進するのに必要なツールを提供し、新しい治療法の研究を刺激する新標的をもたらす。
doi:10.1038/nchembio.625
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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