Research Press Release

遺伝学:ペルー人の身長が平均より低いことの遺伝的説明

Nature

2020年5月14日

ペルー人の身長が低いことに関連する遺伝的バリアントが見つかったことを報告する論文が、今週、Nature に掲載される。このバリアントを2コピー有するペルー人(ホモ接合者)は、身長が平均4.4センチメートル低かった。

ペルー人の身長は世界で最も低く、男性の平均身長は165.3センチメートル、女性は152.9センチメートルである。しかし、この現象の原因となる特有の遺伝子と過程は分かっていなかった。

今回、Soumya Raychaudhuriたちの研究チームは、ペルー人の身長に寄与すると考えられる遺伝的要因を突き止めるため、ペルーのリマに居住する3134人の遺伝的データと身長のデータを入手し、ゲノム規模関連解析(GWAS)を行った。その結果、FBN1遺伝子の変異が見つかった。FBN1遺伝子は、細胞外マトリックス(細胞を支持してその増殖を制御する構造物)に関与するタンパク質をコードしている。次に、Raychaudhuriたちは、598人のペルー人からなる独立のコホートにおいて、この関連を確認した。このバリアント(E1297G)は、対立遺伝子当たり身長を2.2センチメートル低くする効果が認められた。

そしてRaychaudhuriたちは、ペルー国内の3つの地域の出身者150人におけるE1297Gの頻度を比較した。出身地の内訳は、アマゾン地方が28人、沿岸部が46人、アンデス地方が76人だった。E1297Gの頻度が最も高かったのは沿岸部の集団であり、Raychaudhuriたちは、沿岸部の環境に関連した要因に対する順応の結果として低身長になった可能性があるという見解を示している。

doi:10.1038/s41586-020-2302-0

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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