Research Press Release
惑星科学:火星上の泥の流れ方
Nature Geoscience
2020年5月19日
火星表面の低圧低温下における泥流の振る舞いは、地球の溶岩流に類似している可能性があることを報告する論文が、今週、Nature Geoscience に掲載される。
火星の表面には、溶岩のような流れに関連した数千もの火山のような地形が点在しており、その中には、火成火山活動に起因するものもある。このような地形は、古代の洪水によると考えられる堆積物に覆われた地域に見られ、水分を含む堆積物が急速に埋まったことで堆積火山活動が生じた可能性がある。しかし、火星上で泥がどのように流れるかについてはほとんど分かっていない。
Petr Brožたちは今回、火星表面条件下の低温表面における泥の伝播を調べるために実験を行った。著者たちは、オープン・ユニバーシティ火星実験室内の傾斜した箱に泥を注ぎ、その泥の伝播を複数のカメラで記録した。その結果、泥流は、典型的な地球の泥流のように流れるのではなく、ドロドロとして荒々しい地球の溶岩のような流れであり、流れていくローブ状の泥の周りに固化した殻が急速に形成されることが分かった。
今回の知見は、火星や準惑星ケレスなどの他の極寒の天体上の流れが、火成活動の証拠ではなく、泥火山活動の産物である可能性を示唆している。
doi:10.1038/s41561-020-0577-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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