天文学:銀河形成の伝統的モデルを揺るがす宇宙初期の円盤銀河の発見
Nature
2020年5月21日
回転する大質量の円盤銀河がビッグバンから15億年後に形成していたという観測結果を報告する論文が、今週、Nature に掲載される。これは、銀河形成の伝統的モデルの予測よりも相当早く、天の川銀河などの円盤銀河の形成時期と形成過程に関して続いている議論に拍車がかかると考えられる。
宇宙論の現時点での理解によれば、銀河は階層的にできていくと予想されている。つまり、ダークマターの「ハロー」が生じ、周囲のガスを取り込み、より大きな構造に合体し、そこから星が形成し、銀河の成長につながると考えられている。銀河形成に関する伝統的な見方によれば、落下ガスが加熱されて球状構造を生じ、中心領域が冷却されて初めて円盤が形成することが示唆されている。
今回のMarcel Neelemanたちの論文で報告されている宇宙初期の円盤銀河の観測結果は、従来の学説とは異なる「低温降着」仮説を裏付けている。Neelemanたちは、回転する低温の塵の円盤が約125億年前から銀河に存在していたことを示す証拠を提示している。この知見は、落下ガスの温度が低く、これが円盤の急速な凝縮を引き起こした可能性のあることを示唆している。この円盤銀河の質量は、太陽の720億倍と推定されており、円盤は、秒速約272キロメートルで回転している。
同時掲載のAlfred TileyのNews & Viewsでは、今回の研究により、大質量のガス円盤の形成が、他の最近の観測研究で示唆された時期よりも25億年早かった可能性が示されたと指摘している。その一方で、Tileyは、この新知見が1つの銀河に基づいている点を強調し、低温降着が銀河形成の共通様式であるかを見極めるためには、より多くの銀河について同様の観測を行う必要があると述べている。
doi:10.1038/s41586-020-2276-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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