獣医学:英国におけるイヌの熱中症のリスク因子
Scientific Reports
2020年6月19日
高齢で体重が各品種の平均より重いイヌ、あるいは顔の平たい品種(短頭種)のイヌは、暑熱関連疾患にかかるリスクが高いことを報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。
今回、Emily Hallたちの研究チームは、2016年に英国で獣医療を受けた90万5543匹のイヌの匿名電子記録を用いて、イヌにおける熱中症の発生頻度を調べた。その結果、395匹(0.04%)が暑熱関連疾患を起こし、うち56匹が死亡していた(致死率14.18%)ことが確認された。体重が各品種の平均以上のイヌは、平均未満のイヌよりも暑熱関連疾患を発症する確率が1.42倍高かった。また、各品種の平均体重にかかわらず、体重が50キログラム以上のイヌは、10キログラム未満のイヌよりも暑熱関連疾患を発症する確率が3.42倍高かった。さらに、6~8歳のイヌと12歳超のイヌは、2歳未満のイヌと比べて、暑熱関連疾患を発症する確率がそれぞれ1.53倍、1.75倍高かった。
パグ、フレンチブルドッグなどの短頭種のイヌは、顔の長さが中程度のイヌ種よりも暑熱関連疾患の発症確率が2.10倍高く、純血種のイヌは、交雑種のイヌよりも暑熱関連疾患の発症確率が1.86倍高かった。
以上の知見は、暑熱関連疾患のリスクを低く抑える上では、イヌの体重を健康的なレベルに維持することが重要だと示唆している。Hallたちは、イヌが暑熱関連疾患にかかるリスクを低く抑えるためには、良好な呼吸機能が維持されるように飼育することも考慮すべきだと述べている。
doi:10.1038/s41598-020-66015-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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