古生物学:古代アフリカのクロコダイルの頭蓋骨がアメリカのクロコダイルの起源を解明する手掛かりに
Scientific Reports
2020年7月24日
絶滅したアフリカのクロコダイル種Crocodylus checchiaiが、アメリカのクロコダイルの現生種と近縁関係にあるとした解析結果を報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。この知見は、クロコダイルが中新世後期(1100万年〜500万年前)にアフリカからアメリカに移動した可能性を示唆している。
今回の発見までは、クロコダイルが大西洋を横断してアフリカ大陸からアメリカ大陸に到達したのか、あるいはその逆なのかが不明だった。今回、Massimo Delfino、Dawid Iurinoたちの研究チームは、1939年にリビアのAs Sahabiで発見され、ローマ大学ラサピエンツァ校の地球科学博物館(MUST)に保管されているC.checchiaiの頭蓋骨を、コンピューター断層撮影画像を用いて再調査した。彼らは、いくつかの新しい頭蓋構造を明らかにした。その1つがC.checchiaiの口吻の中央部が突出していることであり、これは他のアフリカのクロコダイル種に見られない構造だが、アメリカのクロコダイルの現生種[オリノコワニ(C. intermedius)、モレレットワニ(C. moreleti)、アメリカワニ(C. acutus)、キューバワニ(C. rhombifer)]の頭蓋骨には見られる。このように骨格構造が共通しているということは、C.checchiaiとアメリカに生息するクロコダイルの間に密接な進化的関係のあることを示している。
そして、クロコダイル種間の進化的関係のさらなる解析が行われ、C.checchiaiが、北米と南米に現生するクロコダイル種(4種)と同じ進化系統の一部であることが示唆された。C.checchiaiの化石は、年代測定によって約700万年前のものとされた。これに対して、アメリカのクロコダイルの化石として最古のC.falconensisは約500万年前のものとされている。Delfinoたちは、以上の知見に基づいて、クロコダイルがオーストラリアからアフリカを経て西へ移動してアメリカに到達したという見解を提起している。
doi:10.1038/s41598-020-68482-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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