感染症:人獣共通感染症のリスクは人間の土地利用の管理に関連している
Nature
2020年8月6日
人間が管理する生態系には、かく乱されていない生息地よりも多くの人獣共通感染症の宿主が存在していることを明らかにした論文が、今週、Nature に掲載される。今回の研究は、農業生態系、牧場生態系、都市化生態系の監視を強化して、土地利用と保全計画に関連する疾患関連医療コストを考慮することの必要性を明確に示している。
エボラ出血熱、ラッサ熱、ライム病などの人畜共通感染症は、動物からヒトに感染する病原体によって引き起こされる。土地利用の変化(例えば、自然生息地から農地や市街地への転換)が、ヒトにおける人畜共通伝染病のリスクと出現に影響を及ぼすことは広く容認されているが、これが予測可能な生態学的変化によって裏付けられるかは不明だ。
今回、Kate Jonesたちの研究チームは、全世界の生態系6801か所と宿主動物種376種を分析し、土地利用が各地域の人獣共通感染症の宿主群集に対して広域的で系統的な影響を及ぼすことを明らかにした。人間が管理する生態系では、近隣のかく乱されていない生息地よりも、既知の人獣共通感染症の宿主動物種の種数と個体数が多かった。
この影響が最も強く現れているのは齧歯類とコウモリ類とスズメ目鳥類で、このことは、これらの動物種が人獣共通感染症の宿主動物種として広範に生息している理由を説明する上で役立つと考えられる。現在、世界各国が人獣共通感染症であるCOVID-19のパンデミックへの取り組みを続けている中で、Jonesたちは、世界的な土地利用の変化によってヒト疾患の宿主候補とヒトとの接触の機会が増加していることに注意を喚起している。
doi:10.1038/s41586-020-2562-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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