電子工学:超小型の4足歩行ロボット
Nature
2020年8月27日
超小型の4足歩行ロボットの一群が作製されたことを報告する論文が、今週、Nature に掲載される。この成果は、既存のシリコンエレクトロニクスと互換性のある新しいクラスのアクチュエーター(ロボットに対して駆動力を供給する装置)の開発によってもたらされた。
細胞サイズのロボットを製造するために電子機器の小型化が待望されているが、適切なマイクロメータースケールのアクチュエーターシステムがないため、小型化技術には限界があった。今回、Marc Miskinたちの研究チームは、この問題を克服する新しいクラスの電気化学アクチュエーターを実証した。これらのアクチュエーターは、0.1ミリメートル未満のサイズ(ヒトの毛髪の幅にほぼ等しい)のロボットの足を形成し、レーザー光の刺激を受けると屈曲して、歩行動作を生じさせる。Miskinたちは、4インチのシリコンウエハーの表面上に100万個以上の歩行ロボットを作製した。これらのロボットは、内蔵されたシリコン太陽電池で動く。
Miskinたちは、このロボットが、動作の制御に用いる電子機器を内蔵した0.1ミリメートル未満の超小型ロボットとしては初めてのものだという見解を示している。これらのロボットは、強靭で、強酸性環境や200ケルビンを超える温度の変動に対して耐久性があり、皮下注射によって注入できるため、生物学的環境の探索に利用できる可能性がある。これらのロボットの機能は、現在のところ限定的で、他の水泳ロボットより動作が遅く、周囲環境の感知ができず、集中制御もできない。しかし、Miskinたちは、既存のシリコン技術との互換性があるため、今後、ロボットの性能を高めることが可能だと結論付けている。
doi:10.1038/s41586-020-2626-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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