Research Press Release
落葉の増加は土壌炭素放出を加速する
Nature Climate Change
2011年8月15日
落葉が増加すると熱帯森林土壌からの炭素放出を加速し、予測されている森林の炭素貯蔵と一部が相殺するとの研究成果が、Nature Climate Change(電子版)に報告される。
二酸化炭素濃度が増加することで刺激され、熱帯森林生産力が強化されると大きな炭素吸収源として働き、地球温暖化の速度を減速させる可能性がある。しかしながら、生産力の増加と土壌炭素の力学的過程との間のフィードバックがわからないままでは、将来の炭素貯蔵庫の変化を予測することには限界がある。
E Sayerらはパナマで森林土壌に落葉を付加し、6年間にわたって監視することで落葉の増加が土壌の炭素貯蔵に及ぼす影響を調べた。同位体測定を用いて異なった炭素発生源を区別することにより、彼らは落葉が加わることで、土壌の微生物が容易に分解できる有機物が付加され刺激を受ける「プライミング」として知られる過程によって、土壌有機炭素からの二酸化炭素放出が顕著に増加することを見つけた。
Sayerらは、落葉が30%増加すると低地の熱帯森林土壌から年間1ヘクタール当たり0.6トンの炭素が放出されると見積もっている。この炭素の量は、最近の数十年にわたりアマゾニアの森林植物体で気候による増加の見積もりよりも大きい。
doi:10.1038/nclimate1190
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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