系外惑星:白色矮星を軌道運動する巨大惑星候補天体
Nature
2020年9月17日
白色矮星の周りを軌道運動する木星サイズの惑星の証拠について報告する論文が、今週、Nature に掲載される。この知見は、白色矮星の形成時に、大質量の惑星が白色矮星に近接する軌道に移動し、存続することがあるという学説を裏付るものである。
白色矮星とは、太陽類似星が大気を放出した後に残った、崩壊した核のことで、通常、サイズは地球と同程度で、質量は太陽の約半分だ。これまでに発見された系外惑星のほとんどは、後に白色矮星を形成する恒星を軌道運動している。こうした恒星は、蓄積していた水素を使い果たすと、まず赤色巨星に進化して膨張し、その後近接した軌道上の惑星を飲み込むため、白色矮星期には、恒星の近くを軌道運動する惑星が存在する可能性は低い。一部の白色矮星については、こうした軌道上の惑星が発見される可能性を示す証拠が見つかっているが、これまでに無傷の惑星が発見されたことはない。
今回、Andrew Vanderburgたちの研究チームは、NASAのトランジット系外惑星探索衛星(TESS)ミッションによるデータを用いて、白色矮星WD 1856+534を1.4日ごとにトランジットする巨大惑星候補天体(WD 1586 bと命名)を発見したことを報告している。Vanderburgたちは、WD 1586 bの質量を木星の14倍程度と推定している。
Vanderburgたちは、WD 1586 bが、WD 1856+534の前駆天体が赤色巨星に進化した時に破壊されないようにするためには、少なくとも1天文単位(地球と太陽の間の距離)よりも遠くに位置していなければならないと仮定している。しかし、WD 1586 bが、白色矮星から推定4太陽半径(水星から太陽への距離の約20倍)まで接近した軌道に到達した過程については明らかになっていない。Vanderburgたちは、シミュレーションを行い、その結果に基づいて、白色矮星WD 1856+534が形成された時、WD 1586 bは、惑星系の残りの他の惑星との相互作用によってWD 1856+534に近接する軌道へと移動したという見解を示している。
doi:10.1038/s41586-020-2713-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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