技術:磁石が組み込まれたソフトロボットでより多くのハエを捕まえる
Communications Materials
2020年9月25日
新しいタイプの高速動作ソフトボディロボットについて記述した論文が、Communications Materials に掲載される。このロボットは、歩行したり、遊泳したり、空中浮遊したり、飛び去ろうとするハエを閉じ込めるよう設計したりすることができる。
自然界の生き物が捕食、逃避、飛翔するためには、高速で動けることが必須である。ソフトロボティクスにとっても、高速動作できることは望ましく、これによって動きの速い物体をつかんだり、動的な環境に素早く対応したりできる。しかし、このような速い動きをロボットで再現することは、極めて難しい課題だ。電動モーターが組み込まれた「ハードボディ」のロボットは、こうした速い動きを模倣できるが、プラスチックやゴムのような材料で作られた低コストで単純なロボットシステムでは実現されていない。
Denys Makarovたちの研究チームは今回の論文で、磁気駆動の高速動作ソフトロボットの設計原理、材料、製造プロセスを示している。このロボットは、埋め込まれた微小磁石が磁場に素早く反応するため、ロボットの形状に応じた動きが可能となる。この設計により、ソフトロボットでこれまでに報告された中で最高の比エネルギー密度が達成された。これは、磁場が弱い時にソフトロボットが高速で作動するために不可欠だ。
このソフトロボットは、将来的には、生物組織工学の分野で、より大型のロボットシステムの構成要素として使用されたり、動きの速い生物の迅速な生体力学的反応の研究に用いられたりする可能性がある。
doi:10.1038/s43246-020-00067-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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