保全:爬虫類のオンライン取引の規模が明らかに
Nature Communications
2020年9月30日
既知の爬虫類種の約36%がオンラインで販売されていることを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。オンラインで取引されている爬虫類種の4分の3は、国際的な規制の対象になっておらず、シモフリヒラセリクガメやセイシェルタイガーカメレオンなどの絶滅危惧種や生息地域限定種も含まれている。
野生生物の取引を規制しようという国際的な取り組みには欠落部分があり、数多くの野生生物種が監視の対象になっていない。そのため、野生生物の取引の実際の規模や取引されている爬虫類やその他の野生生物種に起こり得る影響は不明だ。
今回、Alice Hughesたちの研究チームは、インターネット自動検索システムを使って、2000~2019年の爬虫類のオンライン取引記録をまとめた。そして、爬虫類を扱うオンライン小売業者から得たデータは、2つの国際的な野生動物取引データベースであるCITES(ワシントン条約)のデータベースと米国魚類野生生物局のLEMISデータベースに収録された情報と統合された。Hughesたちは、既知の爬虫類種の約36%を占める3943の爬虫類種がオンラインで取引されており、そのうちの79%がCITESの取引規制の対象になっていないことを明らかにした。取引記録のある爬虫類種の約90%と取引された総個体数の半分が、野生で捕獲されていた。また、取引の地理的特性を調べたところ、絶滅の危惧の度合いが高い一部の生物種はベトナムが主要な供給地となっており、ヨーロッパと北米が主要な消費市場であることが分かった。
Hughesたちは、合法ではあるが規制対象外の取引の影響を低減できない場合には、生息域の狭い固有種の爬虫類が今も続く生物多様性の危機の次の犠牲者になる可能性があると主張している。
doi:10.1038/s41467-020-18523-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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