技術:大腸内視鏡検査を行う半自動ロボット
Nature Machine Intelligence
2020年10月13日
誘導式大腸内視鏡検査を行うロボットを紹介する論文が、今週、Nature Machine Intelligence に掲載される。この論文で説明されている技術は、自動大腸内視鏡検査の手技を簡素化したもので、膵臓内視鏡検査、気管支内視鏡検査、胃内視鏡検査など、他の手技にも応用することができる。
EUおよび米国では毎年1900万件の大腸内視鏡検査が行われており、この手技のニーズは今後10年で16%増加すると予想されている。世界で3番目に多いがんである大腸がんの診断と予防は、大腸内視鏡検査に大きく依存している。従来の大腸内視鏡検査は、高額で、痛みを伴う上、高度な技術を持つ医療従事者が大腸内のプローブを誘導しながらプローブの位置を完全に認識している必要がある。近年では、体外の磁石によって誘導する磁気プローブを用いた新しいアプローチが開発されている。体外の磁石はロボットアームで精密に制御することができ、これにより体内での複雑な動きが可能になる。しかし、この方法は複雑であり、ユーザーがロボットアームと磁気プローブを誘導するのに高度な訓練を要する点に変わりはない。
今回、James MartinとBruno Scaglioniたちの研究チームは、ユーザーからの簡単な動作指令に依存する半自動ロボットシステムを紹介している。プローブは機械知能と画像分析を用いて動き、大腸内を自動的に進んでいく。著者たちはこの手法を、人工大腸モデルだけでなく2頭のブタでも検証した。手技を行ったユーザーらは、この新しいシステムは、ノンインテリジェントな方法よりもはるかに制御しやすいと感じた。
この技術は、大腸内視鏡検査の実施をより容易にすることにより、この手技の普及率を高め、大腸がんの早期発見に大きな影響を及ぼす可能性がある。
doi:10.1038/s42256-020-00231-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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