Research Press Release
潜在的生物多様性の激減
Nature Climate Change
2011年8月22日
気候変動に起因する生物種内での遺伝的多様性の減少は、生物種レベルでの生物多様性の減少よりも深刻である可能性が浮上した。この研究成果を報告する論文が、Nature Climate Change(電子版)に掲載される。今回の研究は、生物多様性に対する気候変動の影響を推定する際には生物種内での遺伝的多様性のパターンを考慮すべきことを示唆している。
今回、S Pauls、C Nowakたちは、ミトコンドリアDNAの変異性を評価し、ヨーロッパの山地に生息する9種の水生昆虫種の分布をモデル化した。そして、「これまで同様の経済活動」に基づく2080年のシナリオと二酸化炭素排出量が減ることを前提とした2080年のシナリオを用いて分布を予測し、両者を比較した。その結果、これらの生物種の分布が将来的に減少し、それとともに進化系統と遺伝的多様性が激減することが示唆された。このように予測された遺伝的レベルでの減少は、従来研究されてきた形態種スケールでの減少を大きく上回っている。
doi:10.1038/nclimate1191
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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