公衆衛生:病原性微生物への長期曝露が、小児期の発育阻害を引き起こす
Nature Microbiology
2021年2月16日
子どもが病原性微生物に絶えず曝露されると、消化管壁の損傷が引き起こされ、食物の吸収に影響が出て、成長が阻害される可能性があることを報告する論文が、Nature Microbiology に掲載される。この知見は、ザンビアの300人以上の子どもを調べた研究に基づいている。
世界では、栄養不良のために1億4000万人の子どもが発育阻害にあり、4000万人の子どもが消耗症に陥っている。環境要因による消化管の損傷は、アフリカや南アジアの何百万人もの子どもたちの発育阻害の大きな原因となっている。これまでの研究から、栄養不足の子どもたちに食料を提供して、衛生対策を講じても、成長を回復させられるとは限らず、一部の子どもたちの発育は阻害されたままであることが分かっている。
今回、Paul Kelly、Beatrice Amadiたちは、2016~2019年にザンビアのルサカで、地域社会を基盤とする発育阻害の縦断観察研究を行った。消耗症と発育阻害に取り組む介入研究とは異なり、Kellyたちは、内視鏡検査と顕微鏡検査を併用して、発育阻害と関連する腸内の状態を評価した。すると、介入では改善が見られない発育阻害の幼児は、消化管が病原性微生物に継続的に強く曝露されていて、特に腸の重い炎症が続いていることが分かった。Kellyたちは、発育を回復させるに当たって、治療は消化管を修復して病原体への曝露を最小限に抑えることに焦点を絞るべきだと結論付けている。
doi:10.1038/s41564-020-00849-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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