環境:陸域での貯水量変動の半分以上は貯水池で起こっている
Nature
2021年3月4日
池や湖などの地球の陸上の水域に貯留された淡水の量の変動を調べたところ、分析の対象水域に貯水池が占める割合は約4%にすぎないにもかかわらず、その変動の約57%が、人間が管理する貯水池で発生していることを報告する論文が、今週、Nature に掲載される。水資源に対する圧力が増加し続ける中、今回の知見は、全球水循環に対する人間の影響を追跡調査するための基礎となる。
貯水池の建設により、地球の陸域に貯留される淡水の量が大幅に増加した。しかし、貯水池に貯留される淡水の量が増えると、蒸発、降水、取水などの要因の結果として、水位の季節変動が大きくなる可能性がある。これが、生態系や水質に悪影響を及ぼし、下流の浸食の増大につながる可能性もある。人間活動による陸域貯水量の変動の影響を理解することは、生態系と水資源を持続可能なものとする上で極めて重要だ。
今回、Sarah Cooleyたちの研究チームは、NASAの人工衛星ICESat-2によって収集された水位測定値を用いて、全球貯水量に対する人間の影響を定量化した。今回の研究では、2018年10月~2020年6月の全世界の22万7386の水域(湖と貯水池を含む)について、貯水量の変動に関するデータが収集された。その結果、季節変動の中央値は、人間が管理する貯水池8964か所(データセットの約4%)では0.86メートルであったのに対し、自然の水域では0.22メートルであることが分かった。北緯45度以南では、貯水池が陸域貯水量の変動の67%を占めており、人間が管理する貯水池に関連した変動の割合が最も高いのは、アフリカ南部と西部、米国大陸、オーストラリア、中東であった。
doi:10.1038/s41586-021-03262-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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