古生物学:先史時代の装甲恐竜は地面を掘ることができたかもしれない
Scientific Reports
2021年3月19日
この度新たに発掘されたアンキロサウルス科恐竜(白亜紀に生息していた大型の装甲草食動物)の骨格化石から、この種の恐竜が地面を掘ることができた可能性が示された。この成果について報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。この化石標本(MPC-D 100/1359)により、白亜紀後期(8400万~7200万年前)のアンキロサウルス科恐竜の行動をさらに解明できるかもしれない。
今回、Yuong-Nam Leeたちは、モンゴルのゴビ砂漠南部で1970年代に発見されたバルンゴヨット層の堆積物からMPC-D 100/1359の骨格要素を発掘した。Leeたちは、MPC-D 100/1359の複数の解剖学的特徴から、アンキロサウルス科恐竜が地面を掘ることに適応していたと示唆している。MPC-D 100/1359は、前肢の骨が浅いアーチ状に配置されており、これによって柔らかい地面が掘れるようになった可能性がある。また、他の恐竜と比べると、いくつかの椎骨が融合していて、後肢の骨の数が少なく、このことが、地面を掘る時や尾を動かす時にMPC-D 100/1359を固定するために役立った可能性がある。MPC-D 100/1359の体形は、中央部が幅広く、前後部が細くなっており、地面を掘る時に体の姿勢を真っすぐに保つために役立ったと考えられる。
Leeたちは、MPC-D 100/1359が、水や無機物、食物としての植物の根に到達するために地面を掘ったり、捕食者から胴体の柔らかい底面を守るために浅い穴の中で身をかがめたりしていた可能性があると推測している。他のアンキロサウルス科恐竜も同様の解剖学的特徴を有することが報告されているため、今回の知見は、地面を掘る能力がアンキロサウルス科恐竜に共通の能力だったと考えられることを示唆している。
doi:10.1038/s41598-021-83568-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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