天文学:恒星間彗星「2I/ボリソフ」は他のどの彗星とも似ていない
Nature Communications
2021年3月31日
恒星間彗星2I/ボリソフは、太陽系内で観測された他のどの彗星よりも原始的であることを報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。また、2I/ボリソフ周辺の塵の特徴が、太陽系彗星で観測された塵の特徴と異なることを明らかにした論文が、Nature Astronomy に掲載される。これら2編の論文で報告された特徴は、2I/ボリソフが恒星間で形成されたことを裏付けている。
これまでに我々の太陽系内で観測された恒星間天体は2つしかない。最初に観測された1I/オウムアムアには小惑星の特徴が見られ、2番目に観測された2I/ボリソフには彗星活動を示す証拠がある。これまでに実施された2I/ボリソフのスペクトル観測では、太陽系の彗星と類似したスペクトル特性が明らかになったが、2I/ボリソフの核を取り囲む塵粒子の特徴は解明されていない。
今回Nature Communications に掲載された論文で、Stefano Bagnuloたちは、2I/ボリソフのコマ塵粒子によって散乱された光の偏光度を測定し、2I/ボリソフの物理的特性を推論した。その結果、2I/ボリソフの偏光度は太陽系内の典型的な彗星で測定された偏光度よりも高いことが判明した。2I/ボリソフに似た偏光特性を持つ唯一の天体はC/1995 O1彗星(ヘール・ボップ彗星)だが、2I/ボリソフのコマ塵粒子によって散乱された光の偏光度は一定で、ヘール・ボップ彗星や他の多くの彗星と異なっていた。このことは、2I/ボリソフが典型的な彗星よりも原始的な天体であることを示唆している。この観測結果は、2I/ボリソフが太陽や他の恒星の近くを通過したことがない可能性を示している。Bagnuloたちは、2I/ボリソフは初めて観測された真の原始彗星である可能性があると結論付けている。
また、Nature Astronomy に同時掲載される論文では、Bin Yangたちが、2I/ボリソフの塵のコマに含まれる塵は半径約1ミリメートル超の「小石」のような塵粒子で構成されており、これは、太陽系の彗星に典型的に見られる微粒子が緩く凝集した状態とは異なると報告している。この小石のような塵粒子は、2I/ボリソフの母惑星系における衝突の結果だと考えられ、2I/ボリソフが崩壊する小石の雲の中で形成されたことを示唆している。
また、Nature Astronomy に同時掲載される論文では、Bin Yangたちが、2I/ボリソフの塵のコマに含まれる塵は半径約1ミリメートル超の「小石」のような塵粒子で構成されており、これは、太陽系の彗星に典型的に見られる微粒子が緩く凝集した状態とは異なると報告している。この小石のような塵粒子は、2I/ボリソフの母惑星系における衝突の結果だと考えられ、2I/ボリソフが崩壊する小石の雲の中で形成されたことを示唆している。
doi:10.1038/s41467-021-22000-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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