環境:世界の土地利用は従来の推定の4倍も変化していた
Nature Communications
2021年5月12日
1960〜2019年に世界の陸地表面のほぼ3分の1に相当する土地の利用が変化していたことを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。この知見は、土地利用の変化の規模が従来の推定の約4倍だったことを示している。
農業、森林伐採、植林などによる土地利用の変化を定量化することは、食料安全保障、気候変動、生物多様性の減少などの課題に取り組む上で非常に重要である。しかし、実際に起こった変化の解明は、包括的なデータの欠如と既存の再現結果に含まれる不確実性によって制限されている。
今回、Karina Winklerたちの研究チームは、Historic Land Dynamics Assessment+(HILDA+)というモデルを構築し、1960~2019年の土地利用変化を評価した。個々の土地利用の変化(複数回の変化があった場合を含む)を集計した結果、この期間中に4300万平方キロメートルの土地(世界の陸地表面の32%に相当)の利用が変化したことが明らかになった。Winklerたちは、1960年以降は毎年、平均してドイツの国土面積の2倍に相当する土地の利用が変わったと推定している。
また、Winklerたちの分析によって、全世界の森林面積が正味で80万平方キロメートル減少した一方で、耕作地が100万平方キロメートル増加し、牧草地が90万平方キロメートル増加したことも明らかになった。この期間中に、グローバルノースで植林と耕作地放棄が増え、グローバルサウスで森林破壊と農業拡大が進んだ。
Winklerたちは、HILDA+が、土地利用変化の環境への影響の解明に貢献し、パリ協定の気候目標や持続可能な開発目標などの政策を支援する土地利用戦略の評価を改善できると結論付けている。
doi:10.1038/s41467-021-22702-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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