Research Press Release
考古学:気候変動のために古代の岩壁画の劣化が加速している可能性がある
Scientific Reports
2021年5月14日
インドネシアにある古代の岩壁画(3万9900年前のものとされる世界最古の手形ステンシルを含む)の劣化が、気候変動によって加速していると考えられることを報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。
インドネシアのマロス・パンケップにある鍾乳洞と岩窟住居で見つかった赤色顔料や暗赤紫色顔料を使って描かれた岩壁画は、年代測定によって2万~4万5000年前のものとされた。ここ数十年間に、これらの岩壁画の劣化が加速していることを示唆する事例証拠があるが、その原因は分かっていない。
Huntleyたちは、雨期と乾期が交互に訪れることによる温度と湿度の反復的変化が、塩の結晶形成と岩壁画の劣化を促進する条件を生み出しているという考えを示し、こうした変化が、気候変動とエルニーニョ現象による極端な気象現象の高頻度化・激化と地球温暖化によって加速する可能性があると提案している。Huntleyたちは、熱帯域の古代の岩壁画を保護するには、長期的な監視と保全の取り組みが必要だと結論付けている。
doi:10.1038/s41598-021-87923-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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