環境:世界の河川の半数以上では流水が途絶える日がある
Nature
2021年6月17日
世界の河川の半数以上で、水の流れない日が年1日以上存在することを示唆する論文が、Nature に掲載される。この知見は、流れの間欠性が、これまで考えられていたよりも一般的であることを示しており、河川管理戦略の変更が必要となる可能性がある。
大部分の河道には、定期的に流水が途絶える河川が含まれており、その数は、気候変動や人間活動のために、今後数十年間に増加することが予想されている。しかし、間欠河川(非恒常河川)の全球的な広がりは不明であり、河川管理戦略を策定する際に見過ごされることがある。
今回、Mathis Messagerたちの研究チームは、非恒常河川の世界的な広がりを予測するモデルを開発し、これを世界の河川網の2330万キロメートルをカバーするRiverATLASデータベースに適用した。Messagerたちは、河川の長さの51~60%で、流水が年1日以上途絶えると予想しており、これは、非恒常河川が最も広範に分布しているタイプであることを示している。また、Messagerたちは、世界人口の52%にとって、居住地に最も近いのが非恒常河川だと推定しており、どの河川が間欠かを予測する上では気候変数が重要な要因であることを明らかにしている。さらに、Messagerたちは、オーストラリア北部、インドの一部、アフリカのサヘル地域などの極端に高温で乾燥した地域を流れる河川の95%は、流水が途絶しやすいという見方を示している。より寒冷な気候では、流水が途絶する原因の多くは、氷や降水が雪として蓄積されることにある。
Messagerたちは、非恒常河川の生物多様性と生態系を保護するための効果的な河川管理戦略を確実に実施するために、河川モデルに流れの間欠性を組み込むべきだと結論している。
doi:10.1038/s41586-021-03565-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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