Research Press Release

政策:地球科学系組織のための実施可能な反人種差別計画

Nature Communications

2021年6月23日

地球科学系組織が多様性を積極的に受け入れるアクセシブルな組織となるための20項目からなる実施可能な反人種差別計画を示したPerspectiveが、Nature Communications に掲載される。この計画は、地球科学コミュニティーのメンバーの人種差別やその他の差別、嫌がらせと闘うために役立ち、他の科学分野にも適用できる可能性がある。

地球科学系組織は、コミュニティーのメンバーの態度に影響を与え、基準を設定し、利益を与えることによって、地球科学という研究分野を形作る上で中心的な役割を果たしている。これまでに地球科学コミュニティー内の多くの組織が社会的人種差別やその他の差別を非難する声明を発表しているが、地球科学は依然として理工学において最も多様性の低い分野の1つとなっている。

今回、Hendratta Aliたちの研究チームは、個人、コミュニティー、研究機関が反人種差別主義を推進できるようにするための20項目からなる行動計画を提案した。Aliたちは、アイデンティティー、価値観、アクセス、インクルージョン、公平性、正義という反人種主義の6つの基本的な構成要素を特定し、これらに基づいて計画を立てた。これらの構成要素は、個人、コミュニティー、研究機関に対し、人種差別とインターセクショナリティー(交差性)を認め、透明性と説明責任を持ち、機会への障壁を取り除き、全てのメンバーを受け入れて便宜を図り、これまでの人種差別やその他の差別の歴史に対処し、植民地科学とパラシュート科学(主に低所得国で、国際的な科学者が現地の研究者を入れずに論文を出版する研究)に取り組むことを奨励している。そして、Aliたちは、これらの分野において、人種差別やその他の差別と闘うために実行できる20の行動を特定した。この計画に記載された具体的な行動としては、インクルーシブな倫理・行動規範の採用、マイノリティーの人材を引き留めを阻害する要因への対処、全ての賃金労働に対する平等な報酬などが含まれる。

Aliたちは、この反人種差別計画を実施するには、地球科学の分野において、歴史的に過小評価され、疎外されてきた全てのコミュニティー(黒人、先住民族、その他の有色人種、障害者、LGBTQ+コミュニティーのメンバー、外国人、女性)の関与が必要になるという考えを示している。またAliたちは、この計画を他の研究分野に適用して、人種差別やその他の差別と闘うために役立てられる可能性があると主張している。

doi:10.1038/s41467-021-23936-w

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度