気候変動:植林がヨーロッパの降雨を増加させる
Nature Geoscience
2021年7月6日
ヨーロッパの森林被覆を拡大することで、降雨が増加し、気候変動で予想される将来の乾燥傾向を一部分相殺できる可能性があることを報告する論文が、今週、Nature Geoscience に掲載される。
世界のいくつかの国は、全球の温度上昇に対処するために、より多くの木を植えることを検討している。そのような広範な森林再生は、地表と大気の間の水、エネルギー、運動量の移動を変えることで、局所的な降雨に影響を与える可能性がある。しかし、森林再生が降雨にどの程度の影響を及ぼすかはよく分かっていない。
今回、Ronny Meierたちは、観測に基づいた大陸規模の統計モデルを用いて、森林被覆がヨーロッパ全体の降雨にどのように影響を及ぼすかを評価した。その結果、農地を森林に転換すると、大きな変化が引き起こされ、局所的な降雨と風下の降雨の両方が増加する傾向にあることが見いだされた。Meierたちは、これらの結果に基づいて、ある全球的な森林再生可能性地図に基づいた現実的な森林再生戦略が、ヨーロッパの夏季の降雨を平均で7.6%増加させ、気候変動から予想される乾燥傾向の一部を相殺できることを示した。一方で、森林の拡大は、気候によって引き起こされる冬季の降雨増加を悪化させる可能性がある。
これらの知見は、気候緩和の道筋を評価する際には土地管理が重要であることを実証している。Meierたちはまた、森林再生戦略を計画する際には降雨への影響を考慮することが重要だと明らかにしている。
doi:10.1038/s41561-021-00773-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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