気候変動:この数十年間に人為起源の二酸化炭素排出によって極値降水量が増加した
Nature Communications
2021年7月7日
最近の数十年間に、人為起源の気候変動のために地球の陸上の極値降水量(通常予想される量をはるかに超える降水または降雪の量)が増加してきたことを示唆する論文が、Nature Communications に掲載される。人間活動に由来する二酸化炭素排出は、将来的に極端事象の発生の一因になると予想されているが、今回の知見は、こうした事象が最近の数十年間に降水事象の激化をすでに引き起こしていることを示唆している。
大部分の気候モデルでは、地球温暖化の下で降水量、特に極値降水量の変化が予想されている。しかし、観測データから人為起源の影響を検出することは難しい。その原因は自然変動と観測データ不足にあり、これらによって不確定性が生じる。こうした不確定性のために、これまでの研究では主に、降水量の変化に対する人間活動の寄与を検出する目的で、地域別の分析が行われてきた。
今回、Gavin Madakumburaたちの研究チームは、新しい機械学習法を用いて、1982~2015年の全球観測データセットにおける陸上の極値降水量の変化を分析した。この機械学習法は、使用された気候モデルの不確定性を明らかにし、空間パターンの経時的変化を特定できる。Madakumburaたちは、一定数の異なる全球データセットにわたって人為起源のシグナルを特定し、観測された極値降水量の長期的な変化は、一貫して人間活動の影響に起因する可能性があると示唆している。また、Madakumburaたちは、極値降水量の増加が、降水の空間パターンの経時的変化に関係しているという考えを示している。Madakumburaたちは、これが、人為起源の気候変動がすでに全球の気候に影響を及ぼしており、現在の極端な降水事象にも影響を及ぼしていることを示す証拠だと主張している。
doi:10.1038/s41467-021-24262-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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