環境:全世界の食料関連の温室効果ガス排出量の定量化
Nature Food
2021年9月14日
世界の食料生産は、年間1万7318テラグラム(173億1800万メートルトン)の二酸化炭素に相当する温室効果ガス(GHG)の排出の原因となっており、その57%は動物性食料、29%は植物性食料の生産によるという推定結果を示した論文が、Nature Food に掲載される。この計算は、2010年ごろの200か国以上のデータに基づいており、特に動物用飼料、輸送、国際貿易に関連するGHGが含まれている。
野菜中心の食事の採用は、気候変動を緩和するための有効な戦略として広く認識されているが、このような食事の変化の寄与可能性は、まだ正確に計算されていない。これまで、農業、林業と土地利用によるGHG排出量を評価する研究が行われてきたにもかかわらず、食料部門のデータはわずかで、空間的にも不明確であり、農業サブセクター間で方法が一貫していない。
今回、Atul Jainたちは、データとモデル化が統合された一貫性のある枠組みを開発することによって、人間向けの植物性食料と動物性食料からのGHG(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素)排出量を推定するためのオープンアクセスデータベースを構築することができた。このデータベースには、さまざまな農法、農産物(171種類の作物と16種類の動物性食品)と、2010年ごろに200か国以上から収集されたデータが登録されている。Jainたちは、世界の食料生産が年間1万7318テラグラムの二酸化炭素に相当するGHG排出の原因になっていると推定している。そのうちの57%は動物性食料の生産に由来し、29%は植物性食料に由来し、14%はその他の用途(ゴムや綿など)に由来している。農地管理と土地利用の変化は、GHG総排出量の大きな部分を占めており(それぞれ38%と29%)、コメと牛肉が、それぞれ植物性食品と動物性食品として最大の割合を占めている(それぞれ12%と25%)。食料生産によるGHGの排出量が最も多い地域は、南アジア、東南アジアと南米だった。
doi:10.1038/s43016-021-00358-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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