エネルギー:カリフォルニアにおける太陽エネルギーの公平な導入を配電網の制約が制限している可能性
Nature Energy
2021年9月14日
電力供給網の限界は、米国カリフォルニア州における分散型エネルギー資源の将来の消費を制約するだけでなく、太陽エネルギーの導入に関連する既存の人種的不平等を悪化させる可能性がある。このことを報告する論文が、Nature Energy に掲載される。
住宅用太陽光発電システムによって電流フローが増大すると、温度と電圧が高くなるため、こうしたシステムが接続されている電力供給網が制約される可能性がある。そのため、既知のどのような電気回路でも、太陽光発電を設置できる住宅の数には限界がある。また、住宅レベルでの太陽光エネルギーの導入は、先行投資が必要なため、既存の人種的不公平や経済的不平等を悪化させることが知られている。しかし、配電網の導入可能量とこうした不平等の関係は、まだ調べられていない
今回、Anna Brockwayたちは、新たな分散型エネルギー資源の組み込みの潜在的限界を分析するために、カリフォルニア州最大の2つの電力会社の供給地域の配電網の容量をマッピングした。次に、この結果を、対応する人口統計データと併せて分析した。Brockwayたちは、現行の条件下では、配電網には十分な容量がなく、こうした地域における太陽光発電システムを導入した住宅の全電力需要の半分未満しか供給できないことを明らかにしている。さらに、配電網の限界は、電力利用における人口統計上の格差を拡大し、黒人コミュニティーや貧困コミュニティーが住宅レベルで再生可能な太陽エネルギーを導入できる配電網の容量が、不釣り合いに少ないことも見いだされた。
Brockwayたちは、こうした配電網の容量の限界は、インフラを大幅に改善する必要性を示唆しており、人種的不平等もそうした改善政策を立案する際の優先事項であるべきであると結論付けている。
doi:10.1038/s41560-021-00887-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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